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木材に適した塗料の選び方

木材に適した塗料の選び方


こんにちは。現場監督ライターのKUMAです。今日は木材用塗料についてのお話です。

木材用塗料は多くの種類があります。

よく知られているのは木目や質感を生かした塗料や、オイルステイン・ワックスなど、塗膜を作らない油性塗料、家具やカウンターに使われる透明な塗膜を作るウレタン塗装などです。

他には、屋外で使われる、ペンキのように均一に塗りつぶして使う塗料もあります。着色された不透明な塗膜がデザインに統一感を出してくれます。

このように、木材用塗料はたくさんの種類があるので何を使えば良いか迷うところです。それぞれの特徴を把握して、適した塗料を使ってみましょう。

浸透型塗料と造膜型塗料の違い

木材に使う塗料は、大きく分けて2種類あります。一つは木材に浸透するタイプの塗料。もう一つは表面に塗膜を作るタイプの塗料です。それぞれ見てみましょう。


浸透型塗料とは

浸透型塗料は木材の表面から内部に浸透して木材を保護するタイプの塗料です。キシラデコールやノンロット、オスモやバトン、ワトコオイルなどの製品があります。

浸透型塗料は木材の風合いを生かし、木の魅力を引き出せるという特徴があります。ワックスやオイルなどの成分が、木材の内部まで浸透していくので木材の表面はそのままの姿で残ります。触ったときの質感や見た目を楽しむのに適した塗料です。

表面に塗膜を作らないので、造膜型塗料に比べて耐水性や耐久性が弱くなります。定期的な塗り替えが必要です。


造膜型塗料とは

造膜型塗料は木の表面に塗膜を作るタイプの塗料で、水や汚れから木材を保護します。

造膜型塗料は木材以外にも使われていて、耐水性、耐久性に優れて撥水効果もあります。浸透型塗料に比べて、屋外での紫外線や雨風による劣化を防ぐことができます。

造膜型塗料にはいくつか種類があり、塗料に含まれる成分によって仕上がりや保護力に差があります。

表面に膜を作るので、木材の乾燥収縮や膨張が起こると塗膜が割れてしまうこともあります。

木の味わいを生かしたいなら浸透型塗料がオススメ

木材に適した塗料の選び方


木の味わいを生かしたいなら浸透型塗料がオススメです。

室内家具やウッドデッキ、無垢の床の保護塗料として適した塗料です。木の風合いや手触りを感じることができ、木材の吸放湿性を妨げません。扱いも比較的簡単で、塗り直しも手軽にできます。

浸透系塗料は色の付かない「クリア」と呼ばれる製品と、顔料の入ったものがあります。


オススメの塗料

オスモ エキストラクリアー,ノーマルクリアー等

ドイツ生まれの浸透型オイル塗料です。成分が木に浸透して木材を保護します。家具や無垢の床に多く使われていてとても有名な塗料ですね。自然素材を中心に作られているので安全性が高く、幼児のおもちゃに使っても安心と謳っています。

仕上がりが濡れた色になるので、塗る前と塗った後で色味や見た目が多少代わります。

ワトコオイル

イギリス生まれの浸透型オイル塗料です。成分が木に浸透して木材を保護します。欧州の規制に基づき有害な成分が含まれていません。

・キシラデコール(https://www.xyladecor.jp/products/xyladecor.html)

キシラデコールは屋外のウッドデッキや木製フェンスによく使われますね。DIY用の雑誌でもよく取り上げられます。

ノンロット

屋外のウッドデッキや木製フェンスによく使われる塗料です。キシラデコールと同じく人気があります。

ノンロットとキシラデコールは屋外に使われる塗料で、よく比較検討されます。ホームセンターなどでも気軽に購入することができます。


浸透型塗料の注意点

浸透型塗料で気をつけたいのが、使った後の道具の始末です。

自然塗料と呼ばれるオスモやワトコオイルなどの「酸化重合型反応」で固まるタイプに注意が必要です。固まる過程で熱を持つので、拭き取ったウエスやハケなどが自然発火する恐れがあります。

塗料を拭き取ったウエスや、使ったハケやローラーを処分する際は水に浸し、塗れた状態でビニール袋に入れて処分します。多くの自治体では可燃ゴミで出せますが、お住まいの自治体の処分方法に従って処理してください。

火災が起こってからでは遅いので、しっかりと後片付けを行いましょう。

水からの保護や屋外に使うなら造膜型塗料がオススメ

木材を保護したり、耐水性を持たせるには造膜型塗料がオススメです。

室内の水回りで使う木製品や棚は水染みができやすいところです。浸透型塗料では水の浸透を防ぐことはできません。汚れや水で木部を汚さないためには、塗膜を作るウレタン塗装などを行います。

屋外の木部は、雨風や紫外線にさらされるので劣化が早くなりますが、塗膜で覆うことで風雨や紫外線から木部を保護することができます。

インテリアとして、色を整える力が強いのも造膜型塗料の特徴です。表面に塗膜を作り、木材の色を均一にすることができます。

変わったところでは、漆やピアノ塗装など、独特の光沢を持った製品に仕上げるにも造膜型塗料が使われます。独特の光沢を持つ仕上げにするには、相当の技術と時間が必要になります。


オススメの塗料

水性ウレタンニス,和信ペイント

室内に使う塗料の中でもなじみ深いニスです。表面に膜を作るので水や汚れから木材を保護してくれます。木の模様が透けて見えます。

ミルクペイント,ターナー

木材に適した塗料の選び方

ミルク成分から作られた自然塗料で、乾燥後は耐水性になります。優しい仕上がり感が特徴です。屋内外で使えるシリーズがあります。

エマルジョンペイント,HAGS

最も手軽に塗れるのが水性エマルジョンペイントです。ハケやローラーで手軽に塗って色を付けることができます。木目が透けず均一に色が塗れるので、インテリアを統一させるのに向いています。

・キシラデコール コンゾラン,大阪ガスケミカル(https://www.xyladecor.jp/products/xyladecor_consolan.html)

木の表面に塗膜を作るのに、木の呼吸を妨げない、という少し特殊な塗料です。塗膜の割れ、膨れ、剥離が起こりにくい特徴があります。屋外専用品塗料です。


造膜型塗料の注意点

造膜型塗料の注意点は、塗る木材をよく乾燥させておくことです。木が十分に乾燥されていないと、あとから塗料の膨れや割れなどが起きます。

また、塗装時の気温や湿度で仕上がりが左右されます。気温が低すぎる、特に5度以下では十分に硬化が進まないことがあります。湿度も高すぎると、表面が乾きにくくなります。クリア塗装では曇ったような仕上がりになることがあります。

まとめ

今回は木材用塗料のことをお伝えしました。木材用塗料には多くの種類があります。使う場所や用途によって使い分けることが大切です。

直接肌で触れる場所には浸透型塗料で、木目や木の質感を生かしてみたり、汚れや傷みを積極的に予防したい場合は造膜型塗料で保護するなどです。メンテナンスの必要性もあわせて考慮すると良いでしょう。


参考文献
一般社団法人 日本塗料工業会,家庭用塗料入門,一般社団法人 日本塗料工業会
一般社団法人 日本塗料工業会,家庭用塗料入門Q&A集,一般社団法人 日本塗料工業会