こんにちは。現場監督ライターのKumaです。今回は住まいの中で使われるタイルの一つ、磁器質タイルについてのご紹介です。
磁器質タイルは、とても硬く、たたくと金属のような澄んだ音がします。水をほとんど吸わず、汚れも付きにくいのが特徴です。主に外装や水回りの壁・床、モザイクタイルなどに用いられます。
では、より詳しく、磁器質タイルについて紹介していきます。
磁器製タイルの特徴
磁器質タイルは、耐候性や耐久性、耐摩耗性に優れていて、住まいのあちこちに幅広く使われています。
磁器質タイルの使いどころ
磁器質タイルは水をほとんど吸いません。その特性を生かして、主に外装や水回りの壁・床などに用いられます。
凍害にも強いので、寒冷地でも屋外に使用して破損しにくいという特徴があります。硬くて丈夫で、汚れが付きにくいという点も屋外使用に向いているといえるでしょう。
住まいの中では、キッチン周りや浴室、洗面所などの水回りなど。屋外では、外壁や玄関ポーチや外構など。幅広く使える優れた素材です。
※凍害:
タイル素地の空隙に水が入り、この水が凍結すると約1割の体積膨張が生じ、その結果損傷が起こる現象。
(LIXILビジネス情報より)
規格による分類
磁器質タイルは、2014年に改訂された現在のJIS規格では、おおむね「Ⅰ類」に分けられます。磁器質タイルは高温で焼成して作られますが、吸水率が3%未満のものと規定されています。
これとは別に、日本ではタイルの種類を、「陶器質タイル」「せっ器質タイル」「磁器質タイル」と大きく3種類に分けていることも多いです。この呼び方は旧JIS規格に基づくもので、吸水率の違いから分けられました。
磁器質タイルは、旧JIS規格では、吸水率が1%未満のものを指すとされていました。
現在は規格が変わり、分類方法や名称が変更になったため、JIS規格からは「磁器質タイル」という名称は無くなっていますが、今でもタイルの分類を表す言葉として使われています。メーカーもユーザーに分かりやすいように、磁器質タイル、陶器質タイルなどの呼び方を使っているところもあります。
・参考:◆タイルの種類◆区分方法,上村建陶株式会社
磁器質タイルの実例とメンテナンス
実際、どのような製品が磁器質タイルというものなのか、見てみましょう。
磁器質タイルの実例
○磁器質タイル アリア
約30センチ角の、比較的大きな土間用磁器質タイルです。磁器質タイルの吸水性の低さ、表面の硬さを生かして土間に使われます。
○磁器質タイル ヘキサタイル プレーン
六角形の、面白いデザインが特徴のタイルです。インテリアのアクセントに使えます。
○ガラスタイル ニューヨーカーグラス ブライト
ガラスのモザイクタイルも、磁器質タイルの仲間です。屋内壁専用ですが、ガラス質のモザイクタイルはかわいいインテリアに似合います。
磁器質タイルのメンテナンス
磁器質タイルは、通常、汚れが付きにくくメンテナンスが容易だとされています。
普段のお手入れは、乾いた布や固く絞ったぞうきんで汚れを落としてください。汚れがひどい場合は、市販の中性洗剤を水で薄めて布やタワシで汚れを擦り落とします。洗剤が残らないように、水洗いをしてから十分乾燥させます。
気を付けたいのは目地です。タイルそのものは硬くて汚れが付きにくいものですが、目地は汚れが付きやすい場所です。
目地についた汚れは早めに拭き取りましょう。染みこんでしまった場合はブラシと洗剤で擦り落とします。洗剤が残らないように、水洗いをしてから十分乾燥させます。
環境性と廃棄物
近年は商品を購入する際に環境への影響を考えることも一般的となりつつあります。こういった風潮に合わせ、建築材料も環境負荷の少ないものが登場しています。エコ活動の一環として、環境負荷の低い製品を選ぶのもタイル選びの一つ形かもしれません。
磁器質タイルの環境性
磁器質タイルの主な原料は砂と粘土であり、天然の材料が主原料です。そういった様々な原料を混ぜ合わせて焼き固めて作られます。
磁器質タイルに限らず、工業製品の環境負荷は原料、製造、流通まで総合的に見る必要があります。製品ライフスタイルを通して環境への配慮がされているのか、消費者が知る一つの目印として、「グリーン購入法適合商品」や「エコマーク」があります。
こういった認証制度で認められた製品は、再生原料を使う、廃棄時のリサイクルに配慮する、など、環境に配慮した製品であることがある程度、認められたものであると考えることもできます。カタログなどで分かることもありますので、気にかけてみてください。
※グリーン購入法についてはこちらに詳しく解説されています。
・参考:グリーン購入法.net
※エコマークについてはこちらをご覧ください。
・参考:エコマーク事務局
廃棄物
磁器質タイルは、非常に安定している製品なので生分解せず、毒性もない製品です。
リサイクル利用は、砕いて舗装材の原料としたり、再びタイルへ戻す研究も進められています。利用できない廃棄は、分別後に埋め立て処理が一般的です。
参考:廃棄物の種類の内容とリサイクル方法 ガラスくず、コンクリートくずおよび陶器くず,リサイクルハブ
まとめ
今回は磁器質タイルについてお伝えしました。
磁器質タイルはとても硬く、たたくと金属のような音がするタイルです。水をほとんど吸わず、汚れが付きにくいため、外装や水回りの壁・床、モザイクタイルなどに用いられます。凍害にも強いので、屋外で使用しても破損しにくいという特徴があります。
インテリアでも、キッチン・洗面所・土間・床など至る所に使われる磁器質タイル、特徴を知って上手に取り入れましょう。
参考文献
デニス・ジェフリーズ,フロアマテリアル,産調出版株式会社