住宅をリフォームするなら、住宅建築について最低限の基礎は学んでおきたいところですよね。特に重要なのが、住宅の土台にあたる部材についての知識です。
そこで今回は、住宅の基本構造をなしている「柱」「梁」「筋交い」について学んでいくことにしましょう。
大まかな違いを知る
それぞれについて細かく見る前に、「柱」「梁」「筋交い」の大まかな違いを確認しておきましょう。
柱とは?
柱は、建築材を土台から垂直に立てることで、床や壁、屋根などを支える構造のことを言います。
梁とは?
垂直に立てる柱に対して、横向きに渡される部材のことを言います。柱と柱の間に渡すことで柱を固定するとともに、屋根などを支える働きがあるのです。
筋交いとは?
筋交いは、柱と柱の間で斜めに渡す部材のことを言います。筋交いを設置することで、建物を補強できます。
建物を立って支える「柱」
それぞれの大まかな違いはご理解いただけたと思いますので、最初に「柱」について見ていくことにしましょう。
柱は垂直に立てて建物を支える部材ですから、建築構造上、もっとも重要な部材の一つと言っても過言ではありません。日本の伝統的な工法における建物の中心になる太い柱「大黒柱」が、一家を支える主人を指す比喩として使われるのも、その重要性を表していると言えるでしょう。
建物の構造によって柱に使われる素材が異なり、たとえば木造であれば木柱が使われます。また、多くのマンションで取り入れられる鉄筋コンクリート造(RC造)や、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)においては、鉄筋コンクリート柱などが用いられるのです。
なお、柱が多いと部屋が狭くなったり、レイアウトに制限が出たりします。そのため、建物の強度を維持しつつ、柱の本数を減らす工法が編み出されてきました。
建物を横たわって支える「梁」
柱につづいて、つぎは「梁」について見ていきましょう。
柱が建築物にとって重要な部材であることをご紹介しましたが、柱を立てただけでは不安定なことに変わりはありません。地震や強風でも建物が壊れないのは、柱と柱の間に梁が通されているからなのです。
梁は大きく分けて、柱と柱の間に横向きに渡される「大梁」と、梁と梁の間などに横向きに渡されて、柱とは直接繋がっていない「小梁」があります。
マンションの場合、特に上階の床自体の重さや、生活する人や家具などの重さを支えるために、梁が大きな役割を果たしているのです。仮に、柱に床が乗っているだけの状態では、重さが集中した床が抜けてしまいます。大梁を通すことによって、床の重さを柱に伝えることができ、床全体を支えることができるというわけなのです。
ただ、これだけでは大梁に荷重が集中してしまうので、より均等に重さが伝わるよう小梁が設置されます。
梁は用いられる部分によって名前がつけられており、代表的なものに床板を支える床梁や、一軒家などの最上階で屋根や小屋組を支える小屋梁、などがあります。
建物を斜めで補強する「筋交い」
柱や梁が建築の基本構造であるのに対し、筋交いは補強材の意味合いが強いと言えるでしょう。
柱と梁を組み合わせることで、四角形の構造を組み立てることができます。これで床・壁・天井を組み上げるのは可能なのですが、これだけだと地震や強風など水平方向に働く力に耐えることができません。
実際に1995年の阪神・淡路大震災では、筋交いが入っていなかった建物の多くが倒壊したと言われています。
在来軸組み工法による建物のうち、屋根が葺き土があり大変重いにもかかわらず筋交いが入っていない建物は、倒壊したものが極めて多く、また屋根が重い建物のうち筋交いが入っている建物であったとしても、少なからず倒壊しております。筋交いが入っており、さらに比較的屋根が軽い建物については、その多くが倒壊を免れることができました。(神戸大学)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/book/2-96/pdf/07_text4.pdf
建物を補強する部材ではありますが、こと地震被害の多い日本においては、柱や梁と同様に重要な構造と考えられているのです。そのため、建築基準法施行令の第45条で、筋交いの素材や接合についての詳細な基準が定められています。
なお、鉄骨材などを用いて斜めに渡す部材のことを「ブレース」と呼びますが、機能は筋交いと同じと考えていいでしょう。
まとめ
建築部材として重要な「柱」「梁」「筋交い」の違いについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
それぞれの役割を認識することで、耐震性や耐久性を維持しつつ、リフォームやリノベーションを安全に行うことができます。
この記事の内容を参考に、さらに必要な知識を体得してはいかがでしょうか。