寒い日や暑い日、エアコンの効きが悪くて快適に過ごせない、という悩みはありませんか。その悩みは、住宅の気密性能を上げれば、解決できる見込みがありそうです。
気密性能の高い住宅は、外気の影響を受けにくいので、室内の温度や湿度をコントロールしやすく、一年中快適な室内環境を作ることができるとされています。
今回は、住宅の気密性能を高めるリノベーションについて、ご紹介していきます。
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リノベーションで気密性能が上がると暮らしが変わる
気密性能が高い住宅には、省エネ効果だけでなく、暮らしやすさや長持ちも期待できます。
住宅の気密性能とは、室内の空気をどの程度閉じ込めておけるか、というもの。気密性が高い住宅は、隙間を極力減らして住宅の中と外の空気が流動しないようにしています。そうすることで、住宅の中は外気からの影響を受けずに済み、温度や湿度などをコントロールして快適な環境を保ちやすくなるのです。
気密性が高いというと、息苦しさを感じたり、よどんだ空気が溜まったりするのではないか、というイメージもあるかもしれません。そうならないために、24時間換気システムの設置が義務付けられています。
一般的に、気密性が高いと換気の効率は良くなります。フィルターや熱交換システムと合わせれば、快適な空気だけを取り入れ、不快な空気は確実に排出するようにできるので、部屋の中はいつも快適な空気で満たされるようになるでしょう。
気密性能が高い住宅は、次のような暮らしへの効果もあります。
●冷暖房の効きがよく省エネになる
●湿度がコントロールしやすく、結露やカビの発生を抑える
●花粉や有害物質を取り除き、空気の新鮮さを保てる
中古物件こそ気密性リノベーションの効果が出やすい
一般的に、新築住宅に比べると、中古住宅は、気密性能が低い場合が多いと考えられます。
まず、住宅が建てられた時代によっては今ほど気密性が重要視されておらず、建築基準なども今とは違う部分があります。つまり、築年数が古い木造住宅などは、気密性能が高くない住宅として建てられたとも考えられます。
さらに、住宅は経年変化によってあちこちに隙間ができやすくなります。部材の変形や留め具のゆるみ、断熱材の劣化などによって住宅の気密性能も低くなっていきます。住み続けているうちに、気づいたら暑さ、寒さが厳しい家になっていた、ということも。
中古住宅のフルリノベーションを検討してしているなら、気密性能の改善も検討しましょう。それにより、さらに快適な暮らしを手に入れるチャンスにもなり得ます。年月の経過で気密性能が落ちてきている中古住宅だからこそ、気密性リノベーションをすれば、快適さの違いを実感しやすいともいえるでしょう。
リノベ済み中古住宅は注意が必要
リノベ済みで新築のようにきれいになった中古住宅は、新築に比べて価格面でかなりお得感があるかもしれません。そういった物件で気を付けたいことのひとつが、表面だけでは分からない、下地や構造の傷みです。
壁や天井の裏、床下などの隙間や劣化した断熱材など、気密性を下げる部分を十分補修せず、内装だけを新しくしている場合、住んでみてから隙間風や冷暖房の効きの悪さに悩まされることもあるかもしれません。
リノベ済み中古住宅の購入を考えているなら、物件選びや内見からプロの目線でチェックしてもらい、アドバイスをもらうようにするとよいでしょう。
確実に効果を出す!プロに頼む気密施工
ある程度長い期間住み続ける予定の住宅なら、プロの手でしっかりと気密施工をしてもらうのが良いでしょう。大掛かりな工事にはなりますが、可能であれば、内装を取って骨組みだけになるところまで解体し、下地からしっかりと処置するとより大きな効果が期待できます。
一方で、リノベーションで気密性を高める工事には特有の難しさもあります。既存の建物を活用するので、歪みがあったり、現在の工法との相性が悪い作りになっていることも。また、工事を始めてみないと下地の傷み具合や細部の構造を知ることができないので、最適な施工方法を事前に決めきれない点もリノベーションの難しさでしょう。
ハウスメーカーや工務店の中には、気密性を高めるリノベーションに関しては、不慣れで十分対応できない業者もいると聞きます。満足度の高いリノベーションにするなら、気密施工の知識や経験があって、中古住宅のリノベーションに納得できる対応をしてくれる業者を選ぶことも大切なポイントです。
気密性リノベーションの費用節約のヒント
予算に限りがあるリノベーションに気密性を高める工事を取り入れるなら、優先順位を付けて、効果の出やすいところから取り組むようにするとよいでしょう。信頼できる専門家に相談するのが確実ですが、例えば、次のような部分を検討してみるとよいでしょう。
●気流止め(壁の裏側を上下に流れる空気の動きを止める作業)
天井側と床下から、壁裏へ空気が入り込む出入り口に気密材を詰め込むなどしてふさぐ。
●隙間風の侵入か所を特定して埋める
●窓ガラスやサッシの交換、内窓の設置
●建付けや建具の歪み改善
●劣化したパッキンの交換やシーリング材の打ち直し
また、住宅全体ではなく、滞在時間の長い部屋に絞って気密施工をするという方法も、コストを抑えることにつながるでしょう。
今すぐ何とかしたい!DIYで気密性能アップ
隙間風がひどい、エアコンの効きが悪い、など、気密性を今すぐに改善したいと思った時、DIYでできることもあります。プロに相談するのはハードルが高いなと感じるなら、DIYでできることを試してみるのも一案です。
気密性を上げるには、隙間をなくすことが基本。まずはどこに隙間があるのかを特定しましょう。ドアや窓を閉め切って目視で隙間を探したり、手のひらを当てて風を感じるか確認したりするだけでも、隙間を見つけられることがあります。
隙間を見つけたら埋めていきます。スポンジ製や起毛形状でクッション力のある隙間テープや、シールタイプで密閉できる隙間テープ、粘土状のパテや注入できるシーリング材など、塞ぎたいか所に合わせてアイテムを使い分けましょう。
隙間風対策アイテムは、ホームセンターや100円ショップでも入手できます。
●窓
引き違いタイプの窓は、構造上もともと隙間があるものですが、古くなるとサッシ周りのゴムが劣化したり、レールに歪みが生じたりして隙間が大きくなっていることも考えられます。
スポンジタイプや起毛タイプの隙間テープをサッシのレール部分に貼って隙間を埋める方法があります。また、カーテンを床までしっかり届く長いものにしたり、カーテンレールの上にボックスなどをかぶせて、冷気の侵入を抑える方法もあります。
●室内ドア、引き違い戸
片開きのドアは締め切っても下に隙間が開くように作られているものもあります。引き違い戸はもともと上部と重なるところに隙間があるつくりです。どちらも、経年劣化で建付けが悪くなり隙間が大きくなっている例もよく見かけます。
●玄関ドア
金属製や木製のドアは、使っていくうちに縁に歪みや欠けが生じたり、建付けが悪くなって隙間が広がったりしていることもあります。また、玄関ドアのポストのフタや投入口も隙間風の原因になり得ると覚えておきましょう。
対策方法は、スポンジタイプの隙間テープやシリコン製で柔らかいシールタイプのテープをドア周りに貼ります。ポストのふたは合わせ目を覆うようになどを取り付けるとよいでしょう。開け閉めはできるようにしておきましょう。
●内装パーツのつなぎ目
巾木の上下、コンセントカバーの周囲、スイッチプレートの周囲、壁材のつなぎ目など、パーツの取り付け箇所に隙間ができていることもあります。
目視で見つけらない場合は、風が入ってきていそうなところにティッシュペーパーをかぶさるように固定し、換気扇を回してみましょう。ティッシュペーパーが動いたら隙間があると考えられます。
塞ぎ方は、シールタイプのテープを貼ってつなぎ目を覆ったり、シーリング材を注入したりする方法があります。
●配管まわり
エアコンや水回りの配管を通す壁の穴は、管の周りに隙間があることも。粘土状のパテを埋め込んで塞ぎましょう。
隙間テープなどはどうしても摩耗や劣化が進みやすいので、定期的に付け直しなどをしないと効果が持続しないことも考えられます。資材は余裕をもって用意しておくことをおすすめします。
DIYで気密性を高めると暮しやすくなることが実感できたら、より本格的な気密施工工事について、プロに相談してみるのもいいですね。
まとめ
住宅の気密性能を高めると、室内の温度や空気を快適に保ちやすくなり、省エネにもなります。中古住宅は隙間が広がって気密性が下がっていることも多いので、リノベーションで気密性能を改善すれば、変化を実感しやすいでしょう。
内装を取り払うリノベーションは住宅の気密性能を大きく改善するチャンスでもあります。しっかりとした知識と経験を持った業者に依頼して施工してもらいましょう。
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