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室内窓でゆるくつながる書斎・ワークスペース

書斎というと、仕事に集中するために独立性や防音性が求められるというイメージがあるかもしれません。しかし最近のリノベーションでは、家族間のコミュニケーションが重視される流れがあり、書斎・ワークスペースでも、「ゆるくつながる」空間づくりが注目されているようです。

住宅内の空間に向かって設置させる室内窓は、ゆるくつながる書斎・ワークスペースづくりを叶えてくれる手法の一つといえます。

今回は、室内窓のある書斎・ワークスペースについて、事例を交えながらご説明していきます。

窓のある書斎・ワークスペース

住宅における窓の役割は、主に採光、そして換気にあると言われます。また、外の様子を窺うことができるのも窓の特性です。一方、室内窓の場合は、部屋と部屋をつなぐ役割があるので、家族間のコミュニケーションがしやすくなる効果があるとされています。

書斎・ワークスペースは、仕事や作業に集中するためのスペースですが、そこに窓が求められる背景はいくつか考えられます。

まず、書斎・ワークスペースにも「つながる」要素が求められていることが挙げられます。ワークスタイルの多様化で家事や子育てをしながら在宅で仕事をするケースが増えてきたり、家族間のコミュニケーションを重視した間取りづくりが関心を集めたりしています。室内窓は、家族がお互いの気配を感じながら適度な距離を保って過ごすための建具として人気が高まっているようです。

次に、もともと別の用途に使っていた空間を、リノベーションで書斎・ワークスペースに転用する流れがあります。窓のないサービスルームや階段下スペース、廊下の突き当りなど、長い時間集中する作業を行うことを想定していなかったスペースを、書斎・ワークスペースにすると、採光や通風が不十分なこともあります。室内窓を取り入れれば、採光、通風、家族とのコミュニケーションなどの問題改善も期待できます。

書斎・ワークスペースに使える室内窓の種類

室内で使える窓の種類はいくつかあります。適切な室内窓を選ぶためには書斎・ワークスペースの窓に求める役割を確認しておきましょう。

通風が必要なら開閉できる窓
屋外につながる窓が確保できないスペースでは、開閉できる室内窓を設置することで通風や採光を得ることもできます。

開閉できる室内窓にも開き方が色々あります。レールに沿って横にスライドさせる引き違い窓、窓を押し出して開口部を作る押し出し窓(滑り出し窓)、壁に沿った風も捉えられるおしゃれな回転式窓などもあります。

引き違い窓以外は、開放時に壁から窓が飛び出すので、その分のスペースを確保しておく必要もあると覚えておいてください。窓を開けた時に室内の動線や家具の配置を邪魔しないか、あらかじめ確認しておきましょう。

羽目殺しの窓でも気配は伝わる
開閉のできない羽目殺しの窓は、FIX窓、スリット窓などとも呼ばれることがあります。通風による換気はできませんが、書斎・ワークスペースに光を取り入れることができ、閉塞感や圧迫感を軽減することもできます。

室内窓を通して隣の部屋の気配を感じることができるので、孤立感も薄らぐでしょう。

室内窓でつながる程度を調整する
窓の大きさや位置、ガラスの種類によって、書斎・ワークスペースの中と外の距離調整も行えます。

書斎・ワークスペースの独立性を高めるなら、窓のサイズは小さくして視線の合わない高い位置に設置するとよいでしょう。また、ガラスをすりガラスなど半透明のものにすれば、採光を維持しつつプライバシーも保てます。

反対に、小さいお子さんの様子を確認するなど、つながる程度を強くするなら、大きいサイズの窓を目線が合う高さに設置するとよいでしょう。ガラスは透明なものにして、窓の双方からよく見えるようするとより効果的です。

参考:SUVACO「室内窓の種類と特徴&選び方の注意点」

室内窓のある書斎・ワークスペースの事例

実際に、書斎・ワークスペースに室内窓を採用した事例を見ていきましょう。

リノベーションで広くなったリビングの一角に設けた書斎スペース。大きな室内窓があるので、圧迫感や閉塞感も抑えられています。ブラックの窓枠は天井照明のライティングレールと色を合わせてあります。淡い色が主体のリビングを引き締めていて、色ごとの面積のバランスも絶妙です。

同じ事例の書斎スペース側から見た写真です。壁に囲まれたスペースですが、大きな室内窓があるので外の光が入ってきて開放感のある明るい雰囲気にもなっています。窓の上部は開閉式ですので、換気もできます。

事例:「大きな室内窓の書斎がアクセントの家」

こちらのワークスペースは、リビングの一角を仕切って作られています。正面の壁の中央に室内窓を設けてあり、窓は上半分が開閉式になっていてリビング全体に風が通るようになっています。ガラスは凹凸のある半透明のもの。人の輪郭が何となくわかる程度の透過度で、作業にも集中しやすそうです。

 

壁にディスプレイされたギターが目を引くカッコいい書斎に、室内窓を設置した例です。ギターを引き立てるダークブルーのクロスになじむ同系色のサッシがクールな印象です。窓は半透明ですが、このくらいの大きさがあれば、隣の部屋の様子が何となく伝わってきますね。

 

こちらは個室タイプの書斎とリビングの間に室内窓を設けた例です。開口部が大きく透明度の高いガラスを使っているので、開放感もあります。書斎でもリビングでも、それぞれに過ごす家族の存在をお互いに感じながら過ごすことができるでしょう。

まとめ

「ゆるくつながる」居住空間としても人気の、書斎・ワークスペースに付けた室内窓についてご紹介してきました。室内窓を通して採光や通風が得られ、部屋の外の気配も感じ取ることができます。

書斎・ワークスペースに室内窓を採用する時には、どの程度のつながり具合にしたいのか、先に決めておくことが大切なポイントとされます。それによって、窓のサイズや位置、ガラスの種類や開閉の方法も変わってくるでしょう。