Column

音が気になる子ども部屋。マンションリノベーションでできる対策とは?

マンションでの生活で気になる「音」は、長く暮らしていく住まいの快適性にかかわってくる問題の一つでしょう。中古マンションのリノベーションは、気になる音対策をするにも絶好の機会。特に、子育て世代にとっては、育ち盛りの子供たちに合わせた音対策をしておくことをおすすめします。

この記事では、マンションリノベーションでできる、子どもに合わせた音対策について、ご紹介していきます。

音の種類で変わる防音リノベーション

マンションの生活で気になる「音」は、いくつかの種類に分けることができます。対策をするには、音の種類とその特性をおさえておくと、応用が利くでしょう。

空気伝搬音

人の話し声やTV等の音声のように、空気を伝わって広がる音のことを空気伝播音といいます。話し声などの音漏れが気になるなら、空気の振動をさえぎるようにすれば、音も伝わらなくなる、という原理です。

固体伝搬音(衝撃音

子どもが飛び跳ねたときの「ドスン」という音や物が床に落ちたときの「カツン」というようなに音は、固体伝搬音や衝撃音と呼ばれます。床にかかった衝撃がマンションの躯体を伝わって、階下の部屋の天井へと伝わります。躯体のスラブ厚や床下・天井裏の構造にもよって、音の伝わり方が変わり、ちょっとの衝撃でも大きな音が伝わってしまうこともあります。

また、衝撃音はさらに2種類に分けることができます。軽い音は「軽量衝撃音」と呼ばれ、スプーンなどの軽いものが床に落ちたときの音や人が床を歩く音が該当します。一方で、子どもが飛び跳ねたり重たい荷物を落としてしまったりしたときなどの音は「重量衝撃音」と呼ばれます。

遮音性能

防音対策に使える遮音材の性能を見分ける基準として、推定L(エル)等級や⊿L(デルタエル)等級という性能表示が参考になります。

推定L等級は、上階の音がどの程度下の階に伝わっているのかを表しています。軽量衝撃音はLL、重量衝撃音はLHで表現され、数字が小さいほど遮音性能が高いことを表します。

一方で、⊿L等級は、商品の遮音性能を表す基準で、その商品がどの程度衝撃音を小さくできるのか、知ることができます。数字が大きいほど遮音性能が高い商品であることを意味します。

・参考:HAGSコラム「マンションで気になる床の防音対策〜賃貸でも簡単にできるおすすめの方法とは?」
・参考:DAIKEN「“床の防音”対策! マンションでも子どもの足音を軽減できる効果的な方法を教えて!」

マンションのリノベーションは管理規約をチェック

マンションのリノベーションでは、事前にマンションの管理規約を確認しておくことが重要です。一般的に、マンションでは共有部分とされるところは変更することができません。防音対策に関係するところでは、窓のサッシや床材、躯体壁に関する取り決めが重要になってくるでしょう。

マンションの外観にかかわる窓のサッシは、共有部分とされて変更ができない場合もあります。また、床材の種類や遮音等級が指定されていることもあります。各住まいの境にある戸境壁に防音対策などの変更を加えてよいのか、という点もさだめられていることがあります。

その他にも、ペット不可や楽器不可などの規約があるマンションもあります。音に関する規約を定めているマンションは、静かに暮らせる可能性が高い、という見方もあるとか。

リノベーションの工事についても、工事可能な日程や時間の指定があったり、事前の手続きについて定められていたりすることもありますので、マンションリノベーションでは、管理規約のチェックは必ず事前に行うようにしましょう。

子ども部屋の音対策 ポイント別解説

それでは、具体的に、マンションリノベーションでできる、子ども部屋の音対策を見ていきましょう。

床|足音には衝撃音吸収素材や遮音性能のある床材を

子どもたちが走り回る音が階下に響いて迷惑になっていないか、気になるご家庭もあるのではないでしょうか。足音はマンションでもよくある騒音トラブルの原因ですが、衝撃音を吸収する効果のある素材や遮音性能のある床材を使うことで、衝撃音の軽減も期待できます。

防音効果のある床材として取り入れやすいものの一つに、防音カーペットがあります。吸音・防音性能のある素材を張り合わせたカーペットで、タイルカーペットタイプなど使いやすいものが揃っています。DIYで施工できるものもあり、賃貸物件でも使いやすいので、子ども部屋やキッズスペースなどの床を手軽に防音仕様にしたい場合におすすめです。

フローリング材にも遮音性能の高いものがあります。L-45以上の遮音等級であるフローリングであれば、管理規約に床材の指定のあるマンションでも使うことができる場合が多いでしょう。他にも、コルクシートも、足音の軽減効果も期待できます。

防音効果のある素材を、床材の下に敷くという方法もあります。カーペットやフローリングの下にゴム製の制振マットや防音シートを敷くのですが、リノベーションで床材を張り替えるタイミングで施工しておくと効率的ですね。

・参考:DAIKEN「“床の防音”対策! マンションでも子どもの足音を軽減できる効果的な方法を教えて!」

壁|お隣への音漏れ対策に戸境壁の遮音リノベーション

子ども部屋がお隣のリビングや寝室と壁を挟んで接している、という間取りでは、子どもたちのにぎやかな声がお隣の迷惑になっていないかと心配になることもあるかもしれません。反対に、お子さんの勉強中に、お隣のテレビやおしゃべりの音声が聞こえてきて集中が途切れてしまう、ということもあるかもしれません。

対策として、生活音は空気伝播音が中心とされており、壁の遮音性能を高めることで、改善されることもあります。生活音が漏れてくる原因として、住宅の境となる戸境壁のコンクリート厚が十分でなかったり、戸境壁の天井や床と接する部分に隙間がある構造になっていたりすることが考えられます。

戸境壁に対してよく行われる防音対策として、躯体コンクリートの室内側に遮音効果のある遮音シートや吸音材を詰め、その上から板や石膏ボードとクロスを張って仕上げる方法があります。躯体と壁の仕上げ材の間に隙間が無い住宅では、壁が室内側に張り出すことになるので、室内空間がやや狭くなることを考えておきましょう。

窓|音漏れ対策の二重窓は管理規約の範囲で

窓は壁よりもさらに薄いので、どうしても音を通してしまいます。緊急車両のサイレンや選挙カーの演説で小さいお子さんのお昼寝が邪魔されることもあるかもしれません。外からの騒音を軽減するなら、窓の防音対策は有効な手段の一つになるでしょう。

窓の防音は、室内の音を外に漏らさない効果もあります。お子さんの元気な声やペットの鳴き声、楽器の練習の音などで、ご近所を気にするストレスも減らせるでしょう。

窓の防音対策としては、ガラスが二重になっている防音性能の高い窓ガラスに変えるだけでも、効果が期待できます。ただ、マンションでは窓ガラスや窓のサッシは外観の一部であるため、自由に変えることができない場合があります。

そこで検討したいのが、内窓の設置です。既にある窓の内側にもう一つ窓を設置することで、音の伝播を遮って防音性能を高めるリノベーションです。マンションの外観には影響しないので、冊子やガラスを自由に選べるところも魅力です。

また、内窓、二重窓にすると、防音に加えて、断熱性や気密性の向上、防犯などの効果も期待できます。

・参考:HAGSコラム「騒音の悩みには内窓がおすすめ。防音以外の効果も」

まとめ


マンション生活では、何かと音が気になるもの。子育て世代がマンションリノベーションする時には、子どもたちの成長を見据えて、音への対策をしておくと安心でしょう。

子ども部屋の床、壁、窓と、それぞれのパーツに合わせた音の対策があります。専門家と相談しながら、マンションリノベーションに組み込んでみてはいかがでしょうか。

▼子ども部屋の作り方を詳しく解説!
完全版|子ども部屋のリフォーム・リノベーションのガイド〜種類・費用・事例まとめ〜