長ければ20年以上共に時間を過ごす猫は、飼い主にとって家族の一員。猫は年中室内飼いという場合も多いため、リフォーム・リノベーションで猫にとっても住みやすい家を実現したいと考えている人もいるのではないでしょうか。今回は「完全版」と題して、そんな愛猫と暮らす家のリフォーム・リノベーションについて徹底解説。愛猫向けのリフォーム・リノベーションの事例、費用相場、ポイントから、気軽にできるDIYの方法まで詳しく紹介していきます。
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もくじ
愛猫と暮らすリノベーション・リフォームの事例
猫も暮らしやすい家を実現したいといっても、具体的にどのような設えにすればいいのかイメージがつきにくいかもしれません。まずは、思わず参考にしたくなるリノベーション・リフォームの事例を5つ紹介します。
事例1:愛猫と一緒にくつろげる窓際のスペース
1つ目の部屋は、窓際に設けられたキャットステップと上に続くキャットウォークが特徴的。窓の前に広めのカウンターを設けてあるので、猫がキャットステップで遊んだりくつろいだりする姿を見ながら読書や仕事をできるのがポイントです。
キッチンの脇には猫専用の通り穴を設置。キッチンに隣接する洗面室に猫用トイレが置かれているので、猫が移動しやすいように設けました。猫が移動する際にドアを開け閉めする必要がなく、猫も人もストレスにならない作りと言えますね。
事例2:スペースを無駄にせず猫にとっても快適な家
こちらの家は夫婦+子ども2人と猫が暮らしています。子どもがいると収納がたくさん必要になりますが、猫用の設備もしっかりと整備しておかなければなりません。ここでは、廊下収納の下を猫用トイレの専用スペースとして上手に活用。収納力を確保しつつ、猫にとっても快適なトイレを実現しているのです。
事例3:猫の様子がよく見える開放的なガラス戸
猫専用の部屋を作ると、いつでも猫の様子が気になってしまうもの。そんな時は猫部屋との仕切りをガラス戸にすれば、色々な作業をしながらでも愛猫の様子を見守ることができます。部屋の仕切りをガラス戸にするというのは、小さな子どもが生活する子ども部屋などでも取り入れられる工夫。ガラス戸で仕切ると部屋全体の開放感や広がりを演出できるので、猫だけでなく人にとっても過ごしやすい空間になっています。
事例4:新たにやってきた猫のために設けた通り穴
こちらの家ではリノベーション後、新たに小さな猫の赤ちゃんが家族に加わりました。念願の猫との暮らしに向け、ドアを通らずに洗面所と行き来ができるよう通り穴を設置しています。構造上問題のない壁であれば、後からでも比較的簡単に通り穴を設けられるので、猫がドアを開けられずにストレスを感じている場合には検討の価値ありです。
事例5:造作ドアに見える猫想いの優しさ
猫が普段から使う動線上は通り穴を設けるのが有効ですが、反対に猫が自由に通れないよう制限する方法として有効なのが、ドアの仕様を見直すこと。こちらの画像に写っているのはオリジナルの造作ドアで、下側がすりガラスになっているのが特徴です。すりガラス越しに猫がいるかどうか見えるので、帰宅した時にドアを開けても猫にぶつかってしまう心配がありません。
また、猫がドアを開けてしまわないよう、猫には届かない高めの位置に鍵を付けてあるのもポイント。ドアに工夫を施すだけで、猫にとっても人にとっても安心安全な住まいを実現しているのです。
愛猫と暮らすリノベーション・リフォームの費用
愛猫向けリノベーション・リフォームの事例を5つ紹介してきましたが、実際にリノベーション・リフォームするとなると費用が気になるところ。続いては、リノベーション・リフォームの内容ごとに大まかな費用相場を見ていきましょう。
・参考記事:ペットと一緒に暮らしたい人必見、ペットリノベーションにかかる費用とは
・参考記事:猫と一緒に暮らすためにリフォーム、おすすめのアイデアと費用を紹介
床のリノベーション
猫の足腰に負担がかかりにくい床材へ見直すことで、猫が快適に移動できる家になります。例えば、適度なクッション性があって衝撃を和らげてくれるクッションフロアやコルクタイルなどを使えば、猫が高いところから飛び降りても安心。それぞれの床材に見直す場合のコスト感は次の通りです。
- クッションフロアへの変更:6畳あたり40,000〜100,000円程度
- コルクタイルへの変更:6畳あたり110,000〜200,000円程度
壁のリノベーション
床と合わせて壁もリノベーションするとより一層快適な空間になります。リノベーションの内容としては、耐久性の高い壁紙や脱臭・消臭機能のある壁紙クロスへの貼り替えや、猫が爪を研いでしまっても傷が付きにくい腰壁の設置などが考えられるでしょう。
- 高機能な壁紙クロスへの貼り替え:1m2あたり10,000〜15,000円程度
- 腰壁の設置:1m2あたり15,000円程度(パイン材を使用の場合)
ペット専用ドアの設置
ペットの移動を円滑にするために有効なのが、ペット専用のドア。既存のドアにペット用の小さな扉を設けるパターンと、ペットドアが最初から付いているタイプのドアに交換するパターンの2種類があります。
- 既存ドアへのペットドアの追加:1,000〜10,000円程度
- ペットドア付きの新たなドアへの交換:60,000〜100,000円程度
キャットタワー・キャットウォークの設置
室内飼いだと猫も運動不足になりがち。猫の運動不足が心配なら、キャットタワーやキャットウォークを設けるリノベーションがおすすめです。これらの施設を設置する費用としては50,000〜90,000円程度を見込んでおけばいいでしょう。
愛猫と暮らすリノベーション・リフォームのポイント
室内飼いの猫にとって快適な家とはどんな家かというと、特別な広さはなくとも縦方向に移動できる工夫がなされている家と言われます。また、ペットとしての猫にとって飼い主や家族が快適に暮らせているというのも大切な要素。人も猫も快適に暮らせる家こそ、愛猫にとって過ごしやすい家と考えられるでしょう。そんな愛猫にとって快適な家を実現するリノベーション・リフォームにおいて、意識しておきたいポイントを解説していきます。
愛猫向けリノベーション・リフォームにおけるポイントや注意点については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
・参考記事:猫と暮らすためのリフォーム
・参考記事:猫との暮らしをもっと快適に。リフォームでできること5選
・参考記事:猫を飼っている部屋のリノベーション〜猫の行動範囲を把握して快適な部屋作り〜
猫向けの床リノベーションで意識したいポイント
愛猫向けのリノベーションにおいて、床を見直す時に意識したいポイントとしては次の3点が挙げられます。
- 猫が滑りにくい床材を選ぶ
- 猫の足腰に負担がかかりにくい床材を選ぶ
- 汚れや傷が付きにくい床材を選ぶ
一般的なフローリングは滑りやすくクッション性も乏しいので、元気に走り回ったり高いところから飛び降りたりする猫にとって、足腰に負担がかかりやすい床材と言えます。猫の健康を考えるのであれば、滑りにくくクッション性のある床材に貼り替えるというのも一つの方法です。
また、猫は毛玉を吐き戻したり粗相をしたりして床を汚すことがあります。走り回ったり爪研ぎしたりすれば、床に傷をつけてしまう場合もあるでしょう。汚れや傷がつくのを防ぐのは難しいため、最初から汚れや傷がつきにくい、あるいはついても簡単に対処できる床材を選ぶのがおすすめです。
・参考記事:猫はフローリング床材ですべる!猫のためのフローリング床のアイデア5選
・参考記事:無垢の床でペットを飼う際の注意点|床の滑りや傷、汚れは大丈夫?
猫向けの壁紙リノベーションで意識したいポイント
愛猫と快適に暮らすために、高機能な壁紙に貼り替えるリノベーションを考えている人もいるのではないでしょうか。猫と暮らす家における壁紙選びで意識したいポイントは次の通りです。
- 傷に強い壁紙を選ぶ
- 汚れに強い壁紙を選ぶ
- 臭いに強い壁紙を選ぶ
猫は爪研ぎや高いところからの飛び降りによって、壁に傷をつけてしまうことがよくあります。他にもマーキングする習性があるため壁に汚れをつけてしまったり、体臭やトイレの臭いが壁に染み込んで悪臭の元になったりする場合もあるでしょう。3つのポイントを押さえた高機能壁紙に貼り替えれば、こうした問題を軽減できる可能性があるのです。
・参考記事:猫と一緒に快適な暮らしを続けるための壁材選び、壁紙の貼り方も紹介
猫穴・キャットウォーク・扉を設置する際のポイント
猫向けリノベーションでは、猫穴・キャットウォーク・扉といった猫専用の設備を設けるケースも見られます。それぞれの設備について意識したいポイントを紹介します。
猫穴はサイズと設置場所に注意
猫専用の動線である猫穴は、手軽に設置できることから人気の猫用設備です。猫穴を検討するにあたっては、次の2点に気をつけましょう。
- 左右のひげの先を直径とする円を基準としてサイズを決める(子猫は成長を見込んでおく)
- 自宅の配線や構造、猫の動線を考えて設置場所を決める
・参考記事:猫ちゃんの移動に必要な猫穴サイズ&穴開け時の注意点!
キャットウォークは猫の気持ちになって検討
室内飼いの猫にとって貴重な運動の場であるキャットウォークですが、サイズや設置場所を間違えると猫にとって危険な設備になってしまう可能性もあります。猫の気持ちになって考え、次のような点を意識しましょう。
- キャットウォークの幅は最低15cm以上、できれば25cm以上を確保する
- キャットウォークをステップ状に設置する場合、ステップ同士が重ならないよう設置する
- 猫の爪が引っかかりやすい木材などを使用する
- 家電、照明器具など猫に乗ってほしくないものから1m以上離して設置する
- 走って怪我をしないよう直線が3m以上にならないようにする
・参考記事:キャットウォークの幅はどうきめる?設置する際のポイントもお伝えします。
猫用扉は目的に合わせて使い分け
猫専用の出入り口を設けてあげると、猫が自分の意思で自由に動き回れるのでストレスなく過ごせます。キャットドアにはさまざまな種類がありますが、身体で押して開けるタイプのものだと一方通行でしか使えない場合も。設置場所や目的に合わせて、適したドアを使い分けるのがおすすめです。
愛猫と暮らすリノベーション・リフォーム、お手入れの方法
猫と暮らしていると、どうしても傷や汚れがついてしまうもの。傷や汚れがつきにくい構造にするのも方法ですが、ついてしまった時に適切なお手入れをするというのが何よりも大切です。特にフローリングや壁は猫が普段から触れる箇所であり、猫による汚れや傷がつきやすい場所です。
こちらの記事では汚れの種類別にお手入れ方法を紹介。簡単にできる汚れ・傷対策も解説していますので、参考にしてください。
・参考記事:猫を飼っているあなたへ!フローリングの注意点とお手入れ方法まとめ
・参考記事:猫と暮らす家の壁にまつわる悩みとは。お手入れ方法&対策
愛猫と暮らすDIY
大規模なリノベーション・リフォームでなくとも、愛猫のために何か用意してあげたいと考える飼い主も多いことでしょう。しかし、既製品だとおしゃれな空間に合わなかったり、デザインが気に入ったものがあっても部屋の置きたい場所のサイズに合わなかったり、自宅にマッチするものを探すのは難しいもの。人にとっても猫にとってもベストなインテリアが見つからないならDIYにチャレンジしてみるのもいいでしょう。
こちらの記事では猫専用のベッドとハンモック、キャットツリー、猫用トイレ、猫用こたつの作り方を紹介していますので、猫用インテリア探しに悩んでいる方は参考にしてみてください。
・参考事例:猫用のおしゃれで快適インテリアをDIYしてみよう
まとめ
今回は猫を飼っている人やこれから飼いたいと考えている人向けに、愛猫と暮らすリフォーム・リノベーションの事例、費用相場、ポイントについて詳しく解説してきました。愛猫にとって快適な住まいを作るという姿勢も大切ですが、愛猫からすれば飼い主や家族が快適に楽しく暮らしているということが何よりも幸せなはずです。猫のために人が我慢するのではなく、猫も人も住みやすい家づくりをリフォーム・リノベーションで実現してはいかがでしょうか。
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