日本の家では天井が白で統一されているのが一般的。リフォーム・リノベーションするにあたっても、天井をどうするかはあまりこだわっていないという方も多いのではないでしょうか。実は、目に見える部分の面積が大きい天井にこだわると、部屋をよりおしゃれに見せることができるのです。今回は「完全版」と題して、天井リフォーム・リノベーションの気になる種類・費用・事例を徹底解説していきます。
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もくじ
1. 【事例】天井のリフォーム・リノベーションのアイデア
天井にこだわると言っても、なかなかイメージがつきづらいかもしれません。まずは、おしゃれな天井リフォーム・リノベーションの事例を紹介していきましょう。
床や袖壁の無垢材と相性のいいグレーストライプの天井
リビングダイニングの天井にあしらわれたグレーストライプと、梁や壁の白のコントラストが部屋の表情を引き締めています。床や袖壁の無垢材との相性も良く、おしゃれながらナチュラルで落ち着いた雰囲気の部屋です。
事例:ここは、客船?
天井はカラーも素材も自由な発想で
広く開放的な部屋の天井は、真っ白だと間延びした印象になってしまうことも。この部屋のように一部を掘り下げ天井とすると、空間にメリハリをつけることが可能になります。掘り下げ天井部分を黒く塗装したり、太鼓梁と呼ばれる木の風合いを残した梁を使用したり、一部はウッドパネルにしたり、自由な発想で天井を作り上げています。
事例:Marine LOHAS
化粧梁で梁の存在感を薄める工夫
マンションリノベーションでは、構造上どうすることもできない梁がデザインの制約になってしまうことがあります。そういった場合に参考にしたいのがこちらの部屋。ダークな配色の天井+化粧梁+間接照明の組み合わせで、リビングの天井にスポットを当てることにより、部屋の中央に横たわる大きな梁の存在感を薄めています。キッチンと並行に化粧梁を並べることで、空間の奥行きも感じさせますね。
事例:FREE BOX
2. 天井のリフォーム・リノベーションのメリット
天井にこだわることで、部屋の雰囲気を大きく変えることができるというのがおわかりいただけたのではないでしょうか。天井リフォーム・リノベーションには、部屋をおしゃれにできるという以外にもメリットがあります。
経年劣化した天井を綺麗にできる
築年数が経過すると天井も徐々に老朽化し汚れていきます。クロスを貼り替えたり補修したりするだけでも、経年劣化した天井を綺麗にすることができます。
構造によっては天井を高くできる
住宅では目で見える天井の裏側に、配管や配線を通すための空間が設けられているのが一般的。構造上の天井より低い位置に天井板が張られているため「二重天井」と呼ばれます。リフォーム・リノベーションで天井を撤去することにより、構造上の高さを最大限活かして天井を高くできるのです。
照明プランを変えられる
築古物件だと、古くから一般的なシーリングライトによる一室一灯照明が多くなっています。天井に手を加えずに照明プランを変更するとなると、簡易取付式ダクトレールを用いる、置き型照明を設置するなど選択肢が少ないのが難点。天井リフォーム・リノベーションと合わせて照明を変更すれば、ダウンライトやダクトレール照明などのおしゃれ照明も新たに設置できます。
断熱性能を高めることも可能
特に戸建ての場合、壁の断熱性能は家全体に影響します。天井を張り替えずに断熱材を入れることも可能ですが、天井を外してグラスウールやセルロースファイバーなどの繊維系断熱材を敷き詰めれば、さらなる断熱性能アップを図ることができるのです。
この後解説する天井の仕上げ材を変えるリフォーム・リノベーション、天井の高さを変えるリフォーム・リノベーションのメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
参考記事:天井リフォーム・リノベーションはいろいろ。それぞれのメリットとは
3. 天井のリフォーム・リノベーションの仕上げの種類
天井リフォーム・リノベーションの仕上げには、大きく分けて「クロス仕上げ」「塗装仕上げ」「板張り仕上げ」「躯体現し(スケルトン)」の4種類があります。それぞれについて解説していきましょう。
クロス仕上げの材質はは6種類。デザインは∞
天井仕上げでもっとも気軽で一般的なのが、壁紙クロスを貼って仕上げる「クロス仕上げ」です。天井に用いられるクロスの種類には、主に次の6つがあります。
- ビニールクロス
- 織物クロス
- 紙クロス
- 木質系クロス
- 無機質系クロス
- オレフィンクロス
種類によって特徴があるので、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
細かな質感も表現できる塗装仕上げ
クロスの場合、サンプルの中から色やデザインを選んでいくことになりますが、塗装仕上げなら細かな色の微調整が可能。自分が納得いくまでこだわることができます。天井の塗装で多く使われる「水性エマルション塗料」は臭いや毒性が少なく、不燃性の比較的安全な塗料です。後で解説しますが、塗装仕上げはDIYしやすい仕上げ方法でもあります。
参考記事:天井リフォームで塗装する際の、素材の種類・特徴をご紹介
ウッドパネルで印象的な天井を作れる板張り仕上げ
床材や壁材として使用されることの多いウッドパネルを、天井に張り付けることで仕上げる板張り仕上げ。木の質感を感じられるため、高級感のある印象的な天井にすることができます。無垢材を使用すれば、木の持つ香りや調湿機能によって部屋全体の快適性をアップすることもできるでしょう。
参考記事:板張り(ウッドパネル)天井について知りたい!素材の種類・特徴まとめ
モダンでクールな躯体現し(スケルトン)
ここまで紹介したのは「天井に何かを施すことによって仕上げる」方法でしたが、最後に紹介する躯体現し(スケルトン)は「天井に何もせず、本来の姿を残したまま仕上げる」方法です。二重天井の部屋であれば、躯体現しにすることで天井が高くなり開放感を演出できます。一般的にインダストリアルな内装との相性がいいとされる躯体現しですが、実はどのようなテイストの内装にもマッチしやすいオールラウンダーでもあるのです。
参考事例:人気のあらわし(スケルトン)天井とは?相性ピッタリの素材の種類や特徴も紹介
4. 天井の高さを変えるリフォーム・リノベーションの種類
続いては、天井の高さを変えるリフォーム・リノベーションも種類ごとに解説していきます。天井を高くする改修が一般的ですが、場合によっては天井の高さを低くしたり、勾配をつけたりといったリフォーム・リノベーションも有効です。
部屋を広く見せられる天井を高くするリフォーム・リノベーション
繰り返しになりますが、日本の家は二重天井になっているのが一般的。張っている天井を取り外すことにより、構造上の天井高を住空間に最大限利用できます。天井を高くすると空間に広がりが生まれ、開放感のある明るい部屋を実現可能。ただし、構造上の問題やマンションの管理規約で天井改修が制限されているなど、天井を高くすることが難しい場合もあるため注意が必要です。
参考記事:天井高を上げるリフォーム・リノベーションでお部屋の開放感アップ
空間にメリハリをつける天井を低くするリフォーム・リノベーション
家族だけでゆっくりと過ごす空間なら、あえて天井を低くするという考え方もあります。天井を低くすると適度な閉鎖感が落ち着きを与えてくれるだけでなく、冷暖房効率がアップするというメリットも。天井が高い空間や吹き抜け空間と合わせることにより、空間全体のメリハリをつけるリフォーム・リノベーションもおすすめです。
参考記事:リフォーム・リノベーションで天井高を下げる。メリットやおすすめ参考例を紹介
屋根構造をそのまま生かせる勾配天井
二重天井の部屋では、屋根の形状に関係なく床と並行に天井を張るのが一般的です。それに対し、斜めの屋根の形状に合わせて天井も斜めにしたものが勾配天井。家の構造によっては梁や柱を生かしたデザインも可能で、部屋のランドマークとして存在感を発揮します。
参考記事:リフォーム・リノベーションで取り入れたい勾配天井のポイントまとめ
部屋の開放感を重視するなら吹き抜け
天井の高さを変更するとしても、階高以上に高くすることはできません。天井をとにかく高く、明るくて開放的な空間にしたいという場合には吹き抜けが有効。吹き抜けは高いところからの採光や外気の取り入れができる一方、空調効率が落ちたり、天井付近のメンテナンスが大変になったりといったデメリットがある点は要注意です。
参考記事:リフォーム・リノベーションでつくる吹き抜けのある開放的な住まい
5. 天井のリフォーム・リノベーションの費用相場
部屋の雰囲気を変えるのに効果的な天井リフォーム・リノベーションですが、実現するにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。リフォーム・リノベーションの種類ごとに、工事費込みの費用相場をまとめると次の通りです。
- クロス貼り替え(スタンダードなクロス):6畳で約39,000〜41,000円
- 塗装仕上げ(水性エマルション塗料):6畳で約35,000〜45,000円
- 板張り仕上げ(無垢材):1m2あたり約15,000〜45,000円/6畳で約165,000〜495,000円
- 天井を高くするリノベーション:6畳で約200,000〜250,000円
参考記事:天井のリフォーム・リノベーションは部屋の印象を決める!気になる費用相場を解説
なお、クロス仕上げ・塗装仕上げ・板張り仕上げについては使用する素材のグレードによって費用が大きく変わるため、こだわりと予算のバランスをしっかりと検討しましょう。
6. 天井のリフォーム・リノベーションの工事期間目安
費用と合わせて確認しておきたいのが、天井リフォーム・リノベーションにかかる工期の目安です。リフォーム・リノベーションの内容によっては室内に立ち入れない時期が生じる可能性もあります。
- クロス貼り替え:1日程度
- 塗装仕上げ :半日程度(水性ペンキ使用の場合)/2日以上(珪藻土・漆喰を使用の場合)
- 板張り仕上げ :2日程度
参考記事:天井のリフォーム・リノベーションの工期目安は?施工検討時の注意点も紹介
以上より、工事内容を問わずおおむね1〜2日程度あれば完了すると考えていいでしょう。天井の高さを変える、吹き抜けを設置すると言った天井の解体を伴う工事になると、さらに長い工期が見込まれます。
7. 天井のリフォーム・リノベーションのポイント・注意点
天井リフォーム・リノベーションを検討するにあたり、あらかじめ確認しておきたいポイントや注意点を一挙に紹介していきます。
色の視覚効果を踏まえて天井の色を決める
色にはそれぞれの視覚効果があります。例えば、白や赤・黄色といった膨張色は空間を広く見せる効果があるとされ、開放感を求められるリビングダイニングなどにおすすめ。一方、黒やダークグレーといった収縮色は空間を落ち着いた印象にする効果があるとされ、寝室や書斎などに取り入れると効果的です。個人の好みだけでなく、こうした視覚効果を意識することで部屋の快適性をアップできるでしょう。
素材による特性の違いを理解する
天井リフォーム・リノベーションでは、クロス・水性塗料・漆喰・珪藻土・無垢材といった多様な素材が用いられます。また、クロスの中にもビニールクロス・織物クロス・紙クロスなどの種類があり、素材によって特性や機能性が異なるのです。こうした素材ごとの違いを理解した上で、リフォーム・リノベーションを実施する場所に求める機能やデザインにマッチするものを選びましょう。
マンションでは天井構造に手を加える改修は難しいこともある
マンションは管理規約によって、入居者が実施できる工事内容に制限が設けられています。特に天井を高くする工事は認められていない場合も多いため注意が必要です。そもそも直天井の物件では、物理的に天井を高くできません。マンションで天井リフォーム・リノベーションを検討する場合は、事前に管理規約と建物構造をチェックしておくことをおすすめします。
参考記事:天井リフォームのポイント
参考記事:クロス貼り?板張り?天井リフォームの方法と、注意点を解説
8. 天井のリフォーム・リノベーションは DIYでも出来る?
天井リフォーム・リノベーションのコストを少しでも抑えるため、DIYにチャレンジしたいと考えている方もいるかもしれません。天井構造に手を加えるリフォーム・リノベーションや板張り仕上げなど大がかりな工事は、信頼できるプロの業者に依頼するのが安心。
一方、クロスの貼り替えや塗装といった比較的手軽な改修であればDIYで仕上げることもできます。こちらの記事では、DIYで天井を塗装する際のポイントや注意点についてまとめていますので、チャレンジしたい方は合わせてチェックしてみてください。
まとめ
今回は「完全版」と題して、天井リフォーム・リノベーションにまつわるあれこれを解説してきました。クロスの貼り替えや塗装など比較的小さな改修から、天井の高さを変える・吹き抜けを作るといった大規模な改修まで、天井リフォーム・リノベーションの種類は多岐にわたります。大規模な改修になればなるほどコストも高くなりますので、自身の実現したい内容とコストのバランスを見ながら、どのようなリフォーム・リノベーションが適しているのか検討するといいでしょう。
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